【感動の階段】
ハンググライダーは感動的な瞬間の連続である。
初めて足が浮いた瞬間。
それは背中に羽が生えた瞬間である。
初めて山の頂きから飛んだ瞬間。
それは空という新しい世界に飛び込んだ瞬間である。
初めて山々を上空から眺めた瞬間。
それはヒトからトリに生まれ変わった瞬間である。
初めて上空2000mを超えた瞬間。
それは自分が地球という星の上で生きていることを知る瞬間である。
ハンググライダーという翼を手に入れた時から、感動で出来た階段をひとつひとつ登っている。
詩:鈴木由路
今回も僕がハンググライダーを始めて3年の間に感じた感動を元に作った詩からお話します。
全8回に渡って綴っている『ハンググライダー日本代表選手・鈴木由路が語る空の魅力vol7』の第3節です。
「初めて山々を上空から眺めた瞬間。
それはヒトからトリに生まれ変わった瞬間である。」
飛び始めて20回目くらいは飛んだ。テイクオフもランディングもだいぶ自信が付いてきた。
そろそろ『サーマルソアリング』にチャレンジ。
『サーマル』とは、空にできる円柱の形をした上昇気流のこと。地面が太陽光で温められることにより発生する。
『サーマルソアリング』とは、サーマルの中で旋回し続けることにより高度を上げていくこと。
とんび等の猛禽類はサーマルソアリングを得意としていて、山際でよく旋回している。
僕たちフライヤーからすれば、とんびはソアリングの先生だ。
始めの方は上手くサーマルに乗れない。上昇部分に入ったり、出たりを繰り返す。
何度かチャレンジするとコツを掴んでくる。
ある時、上手くサーマルに乗れてる感覚。
旋回中ずっと上昇しているのが分かる。
ふと気付くとテイクオフした山が下に見える。
テイクオフ場で仲間のフライヤーがグライダーの準備している。
仲間を上空から見下ろすちょっとした優越感。
そう。今まさにトリの目線を手に入れたのだ。
そして、とんび達と一緒にソアリングを続けていると高度1000mまで上がる。
遠くの山の向こうまで景色が続き、360°どこを見ても遥か遠くの地平線が繋がっている。
僕はハンググライダー選手として「世界選手権でメダル獲得」を目指している傍ら、ハンググライダーの普及活動にも力を注いでいます。
「自然や地球を肌で感じることができて、普段の生活では絶対に出会えない感動を味わえる、こんなにも楽しいスポーツをなんでみんなやらないんだろう?みんなもやればいいのに。」
こんな想いからたくさんの人にハンググライダーの魅力を伝え続けています。